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箱根温泉の「一の湯」、IoTエッジウェア「Gravio」で旅館DXを推進 顧客サービス向上と働き方改革を目指す

 アステリア株式会社は26日、箱根温泉において旅館・ホテルを展開している株式会社一の湯が、AI搭載IoT統合エッジウェア「Gravio(グラヴィオ)」を採用したと発表した。一の湯では、人感センサーによる来客検知、温泉設備の操作記録の自動化といった取り組みに、顧客サービスの向上や業務効率化を目指している。

 旅館「一の湯」をはじめ、箱根エリアにおいて温泉旅館・ホテルを9軒運営している一の湯では、さらなる業務効率の改善やサービス品質の向上、従業員の働き方改革を進めるなかで、業務におけるデジタル活用の推進、AI・IoTによるDX(デジタルトランスフォーメーション)といった取り組みに着手。館内施設の利用状況の可視化、日常業務のデジタル化などを実現可能なシステムの導入を検討していたという。

 同社ではその一環として、さまざまなITツールやソリューションを比較検討した結果、プログラミングに関する知識が不要で、IoTシステムをノーコードで構築できるGravioに着目。スモールスタートできるプランが用意されており導入のハードルが低い点や、用途に応じた多種多様なIoTセンサーを利用できる点を評価し、導入を決定した。

 Gravioは複数の箇所で利用されているが、例えば、エントランスの外側に設置した人感センサーにより、来客を検知すると、即座にフロントスタッフのLINE WORKSに通知を送る仕組みを構築した。これによって、フロントにスタッフを常駐させたり、宿泊客にわざわざ呼び鈴を押してもらうといった手間を取らせたりすることなく、迎え入れの体制をスムーズに整えられるようになったという。

エントランスに設置した人感センサー
GravioとLINE WORKSの連携により、スタッフに来客状況を通知

 また温泉施設において重要な、温浴設備を制御するバルブの開閉は、決められた手順と周期に従って正しく行わないと故障の原因になるため、操作漏れや手順ミスを検知して故障リスクを回避する対策が急務だったとのこと。そこでGravioのダブルスイッチを活用し、毎日の操作を終えたら必ずスイッチを押すようにルール化した。スイッチの操作情報はGoogleスプレッドシートに自動入力され、操作を行うべき時間に記録がない場合は、LINE WORKSによるアラートが担当者のスマートフォンに自動送信されるので、業務の抜け漏れを防止できる。

 このほか、ドア開閉センサーによって館内トイレの利用頻度を把握し、清掃人員の配置を最適化して業務の効率化を進めるといった取り組みを実現。働きやすい環境の整備を進めているとした。

 一の湯では、これらの取り組みに加えて、レストランでの空調温度管理の自動化に向けた検討も開始している。Gravioの温湿度センサーを設置し、現在の正確な温度を可視化するとともに、空調の操作による温度変化の傾向をあらかじめ正確に把握しておくことで、より快適な温度管理を行えるよう、取り組みを進めていく考えだ。